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おまけ

おまけのひとり言(夏)

7月10日土曜日 集中豪雨。全国各地で土石流が発生した。 翌、日曜日はあっけらかんとした青空が広がった。12日月曜日には、梅雨明け宣言が出された。
夏の強い日差しが続き、17日土曜日。蝉が鳴きはじめた。
べたッとした蝉の鳴き声が名古屋の蒸し暑さに拍車をかける。本格的な夏の到来だ。

「朝起きて一回、午前中に一回、午後に一回、寝る前にもう一度。一日最低4回はシャワーをする。名古屋の夏って本当に蒸し暑い。死にそう・・・。私の国の夏は・・・」
海外からやってきて、この地で仕事をする外国の人たちは異口同音にこういう。

5月の連休明け、お隣の禅隆寺さんの庭の真ん中にあるフクラシバの木で、写真の蝉の抜け殻を見つけた。
「蝉の抜け殻」・・・「空蝉」・・・「源氏物語」。こんなふうに話題を広げたいところだが、昭和の時代に広告人として青春を送った筆者に浮かんだ言葉は・・・。

「命かれても」・・・?

パソコンに向かって「i no ti ka re te mo」と打ち込んでみる。
出てきた出てきた。やっぱり。
森進一が唄う演歌「命かれても」だった。

蝉は卵→幼虫→成虫という不完全変様する。
幼虫から成虫になるとき写真のような抜け殻を残す。
卵から地中に出てくるまで地下で生活する時間は蝉にもよるが3年から17年。

禅隆寺さんでよく鳴いているアブラゼミは6年といわれている。成虫期間はたった一週間から二週間、声を限りに鳴き続ける。 蝉の華の季節はとても短い。はじめてみつけた日から一週間に一度くらいの割合でウォッチしている。集中豪雨があった。 強風の日もあった。夏を前に庭師が入り、チェーンソーで枝ぶりを整えていた日もあった。

今週はある・・・?今日はある・・・?風が強かったけど大丈夫・・・?

いつもちょっぴり不安な気持ちとちっちゃな賭け事をしている気分で、禅隆寺さんに通った。 5月連休明け、暑く気温の高い日が続いた。季節を間違えて早めに出てきてしまったのだろうか。それともハルゼミだろうか。
まさか去年の蝉の抜け殻が・・・1年以上も・・・。

職業人としてのゴールがすぐそこまで来ている筆者には思わず頑張れよ、落ちるなよ、そんな気持ちになってくる。 抜け殻だからこそ永遠にそこにあれ!!こんな想いが高まってくる。

憂きことのなほこの上に積もれかし
限りある身の力ためさん

あッ肩に力が入りすぎ・・・!?
そうそう、舞台は若人のためにある・・・。

ところで禅隆寺さんの山門をくぐると、すぐ左側に「迎え花」がある。毎週一回のペースで花が生け変えられる。

7月の第一週目はアワ・小菊・エミール。第二週目はルドベキア。第三週目は虎の尾で、第四週目はピペリカム。

8月の第一週目はバラ、スプレーマム、日扇。透かし百合、クルクマ。第二週目はリンドウ、オミナエシ、ハス、キノブラン・・・。
第三週目はテンパク草だった。

今年も過酷な夏を素敵な花々と一緒に乗り切った。
今日は8月18日。あのフクラシバの木に喰らい付いている「蝉の抜け殻」はまだ健在だ。

迎え花に誘われて夕方、禅隆寺さんの庭にたたずむ。
陽が陰りとても涼しい。

もうすぐ蝉の鳴き声が鈴虫に変わる・・・。

【2106】

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