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いまの広告の傾向は、どうなんだろう。
これからの広告は、どっちを向いていくんだろう。

そんな大きなテーマを念頭に置きながら、連日新聞に折り込まれてくる流通関係のチラシ、中でも通信販売のチラシをじっくりと見てみました。
ものを売る。それ自体非常に難しくなっている理由として、想定ターゲットは見えていても、そのお客さまをどう探したらいいのかが分からない、という声をよく聞きます。逆に言えば、お客さま自身に飛び込んできていただける入口があれば、もっと売ることが出来る、業績を伸ばせる。そんな、超優秀営業マンの代わりになる方法の一つに、通販チラシがあると目を付けました。どうすればお客さまを購入まで誘導できるのか、CPI(一人の見込み客を見つけるために必要な経費/Cost Per Inquiry)、CPO(一つの注文を得るまでの販売コスト/Cost Per Order)を抑えながら、最大の効果を発揮するためにはどうすればいいのか。費用対効果をさらに高めるチラシのヒントを、実際のチラシを例に挙げながら探っていきたいと思います。

通販広告自習室Vol.3

通販チラシ

プラスαの媒体が、
チラシの効果をさらにアップします。

広告の3つの目標を、クロスメディアで実現する。

 広告の目標には3つあると言われています。1つはコミュニケーションすること。多くの人と広告を通してつながり、企業イメージやブランドイメージを伝えたり、商品の認知・理解などを促していくことです。一度の出稿でより多くの人々とコミュニケーションできる方が効果的なので、媒体としてはテレビやラジオなどが適しています。2つめは行動。広告を見て、企業や商品についての問い合わせや資料請求をする、ネットであれば“クリック”する、などがそれにあたりますね。これは、情報を吟味でき、保存することも出来る新聞広告や折込チラシ、さらには知りたい時にいつでも知ることが出来るWEBなどが適していそうです。そして、3つめは売上。商品やサービスの販売で得た売上はもちろんそうなのですが、より少ない広告宣伝費でより多くの利益を得る、つまり費用対効果を高めることも広告、いや広告戦略の目標です。

 3つの目標を達成するためには、それぞれに適した媒体を使い、組み合わせて展開するクロスメディア戦略が必要になります。例えば、テレビCMで企業名や商品名を伝え、折込チラシやWEBで「テレビでCMを行っているあの会社のあの商品です」と紹介して、問い合わせや資料請求、販売まで持って行く。商品力とイメージ発信が奏効して、正のスパイラルに乗って売上がアップする。こんな、理想的なストーリーを実際に展開しているのが、今回とり上げた、株式会社HRKの「うるおい宣言」です。

テレビを最大限に活用して、イメージ訴求に成功。

 HRKの本社は福岡県。トップは岩本初恵氏。これで「あぁ、あれね」とわかる方は、結構テレビをご覧になっているはず。社長自身がCMに登場して、「愛しとーと」で締めくくるCMを実施している企業であり、商品です。主力は、この「うるおい宣言」(ゆずコラーゲンゼリー)や瘦身を目的とした「すらっと宣言」、グルコサミンをゼリーにした「スキップ宣言」などの健康食品。これ以外にもインナーやスキンケア化粧品などを販売しています。
  前身となる会社が生まれたのは1998年。現在のHRKが設立されたのが2003年。15年足らずで年商120億円の企業に育った背景には、岩本社長のクロスメディア戦略が見えてきます。社長自身がテレビCMに登場したのは2010年のこと。反響が大きく、次第にテレビやラジオ番組への出演などメディア露出が増え、岩本社長自身のファンが増えたのと歩調を合わせて売上を伸ばしてきました。前述したテレビの媒体効果、企業や商品の認知という役割はしっかりクリアしたようです。

3つのチェックポイント
ポイント①
テレビ

チラシの
媒体戦略
イメージ戦略の効果をSPツールにも活用し、売上アップ。

 イメージ付けが成功したら、次は消費者に行動を起こさせること。ここでチラシが大きな役割を果たします。チラシでのアプローチ方法は、広告で直接販売するのではなく、まずお試し商品を提供し、その人たちを対象にセールスを展開する「単品通販・ツーステップ」の定石通りのもの。無料提供した方を対象に、電話などでダイレクトにコミュニケーションをして販売につなげていると思われます。

ポイント②
目立つ
キャッチと
商品

 チラシの構成内容を見てみると、これも王道の要素が勢揃い。キャッチフレーズは巨大で目立つ。それに負けないくらい大きな商品写真がセンターに入り、否が応でも目に飛び込んでくるデザインです。実績や顧客の声など、客観的に効果を伝える要素も盛りだくさんに入っています。しかし、これだけでは他社の他商品と何も違わないチラシで終わってしまいます。

ポイント③
パブリシティ
効果

 「うるおい宣言」のチラシの注目ポイントは、情報の2次利用。「テレビCMで有名な、あの商品ですよ」「メジャーな女性誌で紹介された、うるおい宣言ですよ」とスペースはそれほど大きくないものの、どんな要素より声高にアピールしています。テレビに出ている岩本社長は、タレントの顔。他の商品、例えば「すらっと宣言」に起用している熊田曜子や山本リンダ、「スキップ宣言」を勧めている元体操のオリンピック選手森末慎二と同じように、タレント「岩本初恵」がしっかりと広告をしています。

パブリシティ効果。必ず広告にフィードバックする、第三者からの評価。

 また、紙面上どこにも表れてはいませんが、このチラシは様々な「岩本初恵効果」を結集させたものと言えます。その理由は、パブリシティ効果によって、より多くの人がより高い好感度を持った上でこのチラシを見ているという事実。広告のように企業が費用を負担して商品やサービスの情報を発信するのではなく、テレビや新聞、雑誌などがニュースや記事として取り上げることで、情報が伝わっていくことがパブリシティの特長です。言わば第三者が企業の商品やサービスを評価して取り上げるわけですから、人々は高い信頼性を感じます。情報発信力がある岩本社長を「今注目の女性経営者」として、また「タレント社長」としてメディアが取り上げるたび、HRKや「うるおい宣言」の好感度は高まり、そのまま広告効果をも高めていく働きをしていくのです。

比較的低予算で可能となる、WEBとチラシを使ったクロスメディア戦略。

 HRKが実施しているクロスメディア戦略は、使用する媒体が多岐にわたるため、かなりの広告予算が必要になってきます。そのため、すべての企業が実現できるというワケではありません。そこで注目したいのがWEBの活用法です。例えば、新商品の発表をWEBで実施するとします。キチンとした商品説明、価格などはもちろん紹介します。それとは別に、商品開発担当者、もしくはHRKのように社長がその商品やサービスについての思い、背景、苦労談などをブログで紹介します。これらは新聞広告や雑誌広告の働き。また、動画で紹介したい情報があれば、家庭用のビデオカメラと三脚さえ用意して撮影したら、テレビCMのようにアップロードすることも簡単です。FacebookのようなSNSを通じて、半ば口コミで情報を発信し、拡散させていくことも良いでしょう。十分に認知、イメージ醸成が出来れば、チラシで行動喚起です。ただし、問題はすべてのクオリティ。興味を持ってもらえなければ話題にならないし、面白くなかったら見てももらえません。低予算で高い効果を。そんな時こそプロの知恵が必要になると思うのですが───。

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