トリテク~スマホで広告動画を撮るための基礎知識&ちょっとしたテクニック VOL.5 撮影時間はちょっとだけ長めに
広告動画をスマホで撮影するちょっとしたテクニック。今回は「撮影時間はちょっとだけ長めに」です。
VOL.2「カメラはまず固定で撮ってみよう」でも説明しましたが、慣れてくるまでは撮影中にカメラを動かした りズームを変えたりするのはお勧めしません。 固定カメラで撮影した動画をそのまま繋げるだけで、こんな感じの動画が作れます。
この動画では冒頭のタイトル以外で8つのシーンがあります。
一番長いのは最後の料理のシーンで、約 5.5 秒。
他のシーンだと、どれも 2 秒ほどです。
という事は、これと同じような動画を作るには、最後のシーン以外は 3 秒か4 秒ぐらい撮っておけばいいな、と考える人もいると思います。
動画編集者の立場としては、このように2~3 秒のシーンでも、せめて10 秒~15 秒は撮影していただきたいです。
それはなぜでしょうか。
答えは、「10 秒間撮影しても、10 秒全部が使えるシーンではない」からです。
次の動画を見てください。
10 秒の動画ですが、最初の1秒はカメラが動いてしまっていて、その後ピントが合うのに2秒ほどかかってしまい、更には6~7 秒のあたりでまたピントが動いてしまっています。 スマホやデジカメのセッティングでピントが自動で合うようになっていても、最初にピントが合うのに1~2 秒かかったり、なぜか途中でピントが外れてしまったり事があるのです。 上の動画だと、ピントがちゃんと合っていて使えるのは 3.5 秒~6 秒の 2.5 秒間と、7.5 秒~10 秒の 2.5 秒間ですね。
10 秒の素材から2秒使うのなら十分余裕がありそうなのに、ほぼ2択。もしこれに更に、ここらへんはちょっと野菜の切り方が綺麗じゃないなあとかどこか気に入らない部分があっても、そこを使うしかない場合があります。
前回「映り込み注意」でも書いたように、窓の外に映したくないものが通ったのを気づかない場合もあるでしょう。 机にカメラを固定して撮影していたつもりが、ほんの少しの振動で一瞬カメラが動いていた、なんて事もありま す。
撮影時には気づかないトラブルが案外あるのです。 最近のカメラが画質も高いのでファイルも大きくなりがちです。
なので、たった2秒のシーンに1分も2分も撮影すべきとは言いません。
2 秒のシーンならせめて 10~15 秒ぐらいは撮影していただきたいです。 数秒の短いカットを撮影する場合、5 倍ぐらいの長さを撮ればいい感じでしょう。
また、人物撮影をする時もほんの数秒の余裕をもって撮影しましょう。 例えばモデルさんに商品のプレゼンをしてもらう場合。初心者の方には、たまに「よーいスタート」と言って録画ボタンを押す方がいます。 そうではなく、まず録画ボタンを押してカメラを回してから、「3・2・1・スタート」の合図を手で送って下さい。 声を出してはいけませんよ。ドラマや映画で放送局の舞台裏を描くシーンで見る、スタッフさんがやっているア レです。
これで何が生まれるかと言うと、「喋り始めるまでの余白」です。 動画の内容によっては、シーンが切り替わって喋り始めるまでにほんの 1 拍の余白があった方が見やすい場合が あります。 そういう動画じゃなくても、「よーいスタート」と合図したらモデルさんは喋り始めますから、スタートと同時に 録画ボタンを押すのは危険です。
ほんの一瞬、最初の言葉が途切れてしまうかもしれません。プレゼンだけじゃなく、何か演技をしてもらう場合でも、ただ歩くだけでも、踊りを踊ってもらう場合でも同じです。
録画開始してから、「3・2・1・スタート」です。
また、録画終了の時も同じです。「モデルさんがカメラに手を振って終了」みたいなシーンでも、いきなりカメラを止めてはいけません。
OKの合図を出してモデルさんが演技を完全にやめてからカメラを止めましょう。
終わりがほんの2~3秒長いだけで、動画編集の選択肢が増えます。いきなり終わるのではなくゆっくりフェードアウトする事ができたり、次のシーンへの切り替えの動画効果を多彩に使えたり。
選択肢が増えれば、その分「理想の動画」に近づける事ができるのです。
動画撮影時の、数秒の余裕の大切さ、わかっていただけたでしょうか。 無駄にダラダラと長く撮影する必要はありません。 しかしほんのちょっと何秒か長めに撮影するだけで、シーンを切り取る選択肢が増えたり、動画効果を多く選べたりします。
いい広告動画を作るために、数秒の余裕を大切にしてください。