トリテク~スマホで広告動画を撮るための基礎知識&ちょっとしたテクニック VOL.13
「時間を操れ!」(前編:タイムラプス)

2023.07.04

 広告動画をスマホで撮影するちょっとしたテクニック。 
今回は「時間を操れ!」です。
なんだかマンガに出てくる能力みたいでかっこいいですよね。時間、操ってみたいです(笑)。
そしてあなたのスマホには、時間を操る能力が備わっています。 
それが「タイムラプス」と「スローモーション」です。 
簡単に言えば、タイムラプスは長い時間を短く、スローモーションは短い時間を長く見せる技術です。タイムラプスは「早送り」と言った方がわかりやすいかもですね。  
(実際はタイムラプスと早送りは違うのですが、ここでは割愛します)
これらの技術を使うことで、私たちは通常見逃してしまうような微細な変化や素晴らしい瞬間を捉えることができます。  
今回は、タイムラプスについて説明します。
まずはこちらの動画をご覧ください。 

1つめの動画はANAが初日の出のフライトの様子を写したものです。
わずか2分31秒の動画の中で、空港を飛び立って羽田空港に到着するまでを凝縮しています。 ANAのこのチャンネルの中では再生数が抜群に高いわけではありませんが、かと言って低いわけでもありません。1000再生に満たない動画も多い中(しかもその中には凝った編集をしている動画も)で、1.6万再生は優秀です。  
文字情報もナレーションもなく、撮影も操縦席に固定されたカメラが中心で、たまに恐らく手持ちカメラの映像が何度か差し込まれているだけ。
その動画が1.6万再生されているのが面白いですね。
人々が興味ある「初日の出」「操縦席からの景色」にタイムラプスを使う事で短い時間で「最初から最後まで」を見せる。 
シンプルですが、興味をひく動画だと思います。

2つめはモレスキンのペンの制作の様子をタイムラプスで撮影したものです。 
こちらも2.4万再生で、チャンネルの中ではまぁまぁ優秀な再生数です。 
モレスキンのペンがどのように作られているのか、興味ある人が多いのでしょう。
「工場でフルオートで作られているわけではなく、人の手もたくさん入ってこれだけ丁寧に作られている」というモレスキンの自信が動画に現れています。 
このように、タイムラプスは短い時間で長いプロセスを見せる事ができます。
他にも、季節の変化や太陽・雲の動きや開花の様子などの自然の変化を美しく撮る事もできますし、人の動きを撮影する事で街のエネルギッシュな様子を伝える事もできます。
街中の様子を撮影しても、うまくやれば道行く人の顔がわからないので肖像権を気にしなくていいのも何気によいポイントですね。
タイムラプス動画の例をいくつかまとめたのでご覧ください。

タイムラプス撮影の例としては基本的なものをまとめましたがいかがでしょうか。
動画は全て2秒ずつでカットして繋げたものですが、一瞬に感じるものとゆっくり感じるものがあるのも面白いですね。 全てはアイデア次第です。 あなたの作りたい広告動画に使えそうな何かが閃きましたでしょうか。 最初に紹介したANAやモレスキンの広告動画のように、普通の動画とタイムラプス動画をどう組み合わせるかも大事です。  
では、タイムラプス動画撮影のやり方を説明します。
例としてiPhoneで説明します。Androidでも基本は同じです。 
用意するものはバッテリーと三脚です。
まずバッテリー。
タイムラプス撮影は、iPhoneが動画撮影をしながら自動で時間ごとに画像をピックアップして編集しています。 
普通の撮影よりもCPUを使うため電源も消費します。 
更にタイムラプス撮影は長時間撮影をしますから、途中で電源が落ちるなんて事があったら台無しです。 
1~2分を5~10秒にするようなタイムラプス撮影なら大丈夫でしょうけど、1時間を超えるような長時間のタイムラプス撮影なら、バッテリーは絶対必要です。
次に三脚。 
タイムラプス撮影の敵は手ぶれです。 
途中で少しでもアングルがズレたら台無しです。
タイムラプス動画の中にはアングルが変化しているものもありますが、あれはドリーやジンバルなどの機材を使ってやるものです。
三脚でなくても構いませんが、必ずカメラをしっかり固定して撮影してください。
三脚で固定しているつもりでも、床の振動でブレるなんて事もありますので気を付けましょう。
撮影方法は簡単です。
iPhoneのカメラにはタイムラプスモードがあらかじめ入っています。

タイムラプスモードにしてシャッターを押すだけでタイムラプス撮影が始まります。 
撮影時間と出来上がる動画の時間は、iPhoneが自動で設定されます。
撮影時間と、出来上がったタイムラプス動画の時間の関係は以下のとおりです。

30分を越える撮影だと、それが1時間でも24時間でも30秒になってしまいます。 
初心者の方はこれで充分だと思いますが、こだわりたい方とってはこの自動設定は不便でしょう。
そういう方は専用のアプリを使う事をおすすめします。
さて、いかがだったでしょうか。
タイムラプス、面白い効果が狙える上に撮影も簡単だという事がわかっていただけたと思います。 
撮ってみたくなった方もいるのではないでしょうか。
最後に、もう1つ広告動画をご紹介します。 
厳密に言うと恐らくタイムラプス撮影と編集での早送りが混ざった動画と思うのですが、音楽に合わせて動画の速度の緩急が見事で、臨場感や迫力が凄いですね。 
まさに「時間を操っている動画」と言えると思います。
ドローンを多用しているので簡単には真似できませんが、ぜひご覧ください。 

次回は時間を操るもう一つのテクニック、スローモーションについてお話します。