この広告に注目!VOL.5
生活提案より、事実を教えて。
キャリア講座の広告に、共感してもらうには?
コロナ禍で、自分だけの時間が増えた。自分のこれからについて、考える時間が増えた。たぶん、そんな状況も重なって、自分磨き、新たなキャリア形成の機会を提供する講座、スクールの広告を数多く見るようになりました。その代表例が、膨大な数の講座によって生涯学習の機会を提供する大手企業。多くの有名タレントの起用と広告露出量の多さで、きっとたくさんの人の記憶に残っているはずです。現在も、数々のタレントが食生活アドバイザー、パーソナルリンパケアリスト、温活アドバイザーにトライしている様子を伝えています。 しかし、(ここからは私感ですが)人はこれに共感するのだろうか、と思うのです。もっと言えば、毎日の生活に、人生に、こんな変化が生まれる、と彼らに提案されても自分ごととは思えない、というのが本音です。
強くもあり弱くもある、自分ごととして捉えられる広告を。
そう思っていたとき、表参道駅にこんなポスターが掲出されているという情報を得ました。女性向けキャリア支援プラットフォーム「SHElikes(シーライクス)」の広告で、タレントは峯岸みなみさんです。キャッチフレーズは「わたしたちは、ネガティブとポジティブをいったりきたりして それでも前へ進んでいく。」。その展開として、「ネガなわたし」と「ポジなわたし」を対比させながら、どんなあなたにも寄り添う、という締めのフレーズへつないでいきます。ポイントは、これらの広告には、実際にコピーライティング講座を受講した峯岸さんが書いたものも使用されていることです。 なぜ、これがポイントなのか。広告のめざすゴールが前述したものとは異なるからです。峯岸さんの悩みや希望は、同世代の女性に共通するところが多いもの。つまり、自分ごととして共感できる部分です。つくりごとではない。手が届かないものではない。「FACT(事実)」の強さがこの広告にはあるから、多くの人の心にとまったのだと思います。
選択には信頼性も必要。問題は、だれが勧めるか。
これを受講したら、こう変わる。普通に生きる私には、変わる力が眠っている。そう思ってもらえたら、広告キャンペーンは大成功です。が、ここで新たな問題が。数ある中でこの講座を選択するには、信頼性が重要な要素になります。
FACTを伝える広告の、最も端的な例はテレビ通販です。この掃除機の吸引力は、こんなにすごい!この健康機器を使えば、テレビを観ながらお腹がへっこむ!など、それぞれの事例を紹介してくれるので「ホントだ」と思います。しかし、「ホントか?」という猜疑心も芽生えるのも事実です。それは何より信頼性が原因です。