
SSで使える!人を動かすコピーレッスン VOL.1
よく効くキャッチフレーズの作り方。

一生懸命説明しているのに、お客様が私の話を聞いてくれない。
最初のひと言で心をつかみたい。
もうひと押しできれば購入まで持っていけたのに。
そんな弱音をはきながら、毎日SSで働くあなたの悩みに、新聞や雑誌、テレビやラジオCM、ホームページで、たくさんのコピー(広告文)を書いてきたコピーライターが、しっかりお答えしていきます。
めざすのは、あなたのひと言で人が動くコピーづくり。
これから定期的に、事例を挙げながら分かりやすくお伝えしていきます。
では、第1回を早速始めましょう。
キャッチフレーズとは、話のつかみのこと。
突然襲った新型コロナウイルスは、人と人との距離を離してしまいました。
車の窓越しに、至近距離でお客様と会話する、という機会も激減。
だからこそ、チラシやPOP、サイネージなどの広告、さらにはわずかな時間に交わす会話でどれだけ人の心を動かせるか、というコピーの力が求められます。
コピーとは、広告で使われる言葉のこと。
新聞広告やチラシの文章、テレビやラジオCMのセリフやテロップ、ホームページの文章などはすべて「コピー」です。
新聞、雑誌、チラシ、パンフレットなど印刷されたものや、SNSなどに挟み込まれる広告は、目的や内容を短い言葉で伝えるキャッチフレーズと、伝えたい内容をしっかり説明して、買いたい!利用したい!とアクションにつなげるボディコピーが基本的な組み合わせで構成されています。
早い話、セールストークで「つかみ」に当たるのがキャッチフレーズで、その後に続くのがボディコピーです。
キャッチフレーズは、ヒラメキから生まれない。

では、今回の本論。
効果的なキャッチフレーズ、よく効くつかみの言葉は、どのようにしてつくればいいのか、です。
まず覚えておいてほしいのが、コピーはヒラメキから生まれるのではないということ。
天から降りてきた新しい言葉、面白い文章がコピーではありません。
商品やサービスを売るための、緻密な計算や戦略をもとにして選ばれた言葉がコピーなのです。
例えば、ユニクロがいま展開している広告。
キャッチフレーズは「ふだん着の日が、人生になる。」です。
ユニクロのウエアがラクチンなのはみんなが知っている事実。
私は家でくつろぐ、近所へ買い物に行く、という用途で購入しています。
日本人かなりの割合の人たちも、ユニクロ=ラクチンという思いは同じではないでしょうか。
そんな状況の中、もし「家にいる時のようにリラックスしたいなら。」とキャッチフレーズで言われても、「そんなこと知ってる」となり、誰の心も動かしません。
逆に言えば、知らないこと、新しいことに気付かせてくると、人の心が動き、アクションにつながります。
そこで登場するのが先程のコピーです。
余りにポピュラーな商品の良さをそのまま伝えるのではなく、見方を変えて、普段着は影の存在ではなく、人生の主役になるという新たな価値観を気付かせてくれます。
時はコロナ禍。
みんな外に出ていかなくなりました。
そうなると、よそ行きではなく、いつもの服が人生の主役になる。
だったら、こぎれいで、リラックスでき、そこそこ丈夫なユニクロのウェアは最高の商品ですよ、という論旨です。
ここでポイントになるのが、伝えるタイミング。コロナ禍だから成立するキャッチフレーズです。
買ったり、利用したりする理由を、
コピーで気付かせよう。
SSの日常業務の中で、ユニクロスタイルを応用できる場面はないでしょうか。
あります!例えば、点検をお勧めする広告、セールストークを振り返ってみてください。
「点検をすれば安心が手に入る」。
これは、みんなが知っていること。
初心者マークが付いたドライバーでも分かります。
にもかかわらず、「タイヤが減っていると、何かと心配。
念のため見てみましょうか?」「時間はかかりませんから、安心のためバッテリーチェックしてみましょうか?」というように点検へと導いても、さほど心は動きません。
そんなこと、言われなくても分かっているからです。
プラスひと言、タイミングを利用したらどうでしょう。

コロナ禍では、車で遠出することもありませんでした。
これを利用すると
「コロナ禍は、バッテリーも活動自粛状態。そのまま遠出しても大丈夫ですか。」
また、夏休みが近づいた頃なら
「旅先での足止めは、足まわりが原因に。お出かけ前にタイヤチェックを。」
という具合です。
心を動かすためには、お客様に新たな気付きを与え、いま点検する理由を伝えること。
セールストークにも、キャッチフレーズにも大切なポイントです。